本文
津幡町を歩くと、民家の玄関先に犬の置物が飾られているのをよく見かけます。その昔、洪水から町を救った犬の伝説が残っているからです。
1944(昭和19)年春、大雨が降ったある日のことです。津幡地区の通称「平谷(へいだん)」に住む女性が畑が心配で見に行くと、一匹の犬が畑を駆け回り、今にも飛びつかんばかりにしていました。不審に思って辺りを見ると、隣の田んぼが水浸しになっていたので、急いで区長に伝えました。調べてみると、近くの堤が決壊しそうになっていたため、近くの住民で土のうを積み、大事には至りませんでした。 その堤には古くから不動明王(ふどうみょうおう)を奉ってあり、犬に姿を変えて堤の決壊を知らせてくれたのではないかとうわさになったそうです(津幡地区の伝説「忠犬」の話より引用)。
この堤は、森林公園内にある「津幡池」と呼ばれるため池です。また、この平谷には、平知度(たいらのとものり=平清盛の7男)の墓と伝えられている首塚が残っています。