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歴史国道「北陸道」の出発点である道の駅「倶利伽羅源平の郷・竹橋(たけのはし)口」から出発し、かつての宿場町、竹橋宿を抜けて山に向かうと、急勾配の「前坂(まえさか)」に出ます。大勢の兵士が身を隠せる急勾配の地形は、戦略攻防の要所となりました。坂を上るのに時間がかかることから、別名「蝸牛(かたつむり)坂」と呼ばれていました。
その坂の途中に、当時の北陸道の難所の1つで、険しい山道の入口だった前坂を守る権現様の石像が建っています。風化し苔むしてたこの「前坂権現(まえさかごんげん)」には、ある庭師が普通の石と間違えて運んでいったところ、権現様と知り、そっと返したという言い伝えが残っています。権現様を祀(まつ)った小さな祠(ほこら)の傍らには、「急とも 拝んで通れ 神の前」と書かれた立て札が立っています。