川尻若連中「俄獅子」

川尻若連中「俄獅子」

川尻若連中「俄獅子」

 川尻地区には、「大獅子」と「俄獅子」の二つの獅子があり、毎年8月24日、25日の秋季祭礼に二つの獅子を出している。秋季祭礼の締めとして、地区内を練り歩いた「大獅子」と「俄獅子」による頭合わせが、医師神社境内で行われる。
 そもそも「俄獅子」は、昔(年代不詳)、神殿補修費用を工面するために、若衆の有志が手製の獅子舞演じ、寄進を募って歩いたのが最初と言われており、現在「俄獅子」の運営は、川尻地区独特の「若連中」が行っている。「若連中」とは中学を卒業した川尻地区の男子同級生によって組織されるもので、その中から「寄所(よりしょ)」と呼ばれる代表者を決め、代表者の姓から「○○若連中」と称して、地区の行事に参加する。「若連中」は17歳の年の12月25日に「若衆報恩講」を勤め、「俄獅子」の運営に当たるのは20歳の年である。
 「俄獅子」の獅子頭がいつ作られたのかは定かではなく、作者も不詳である。獅子頭には、通常上顎・下顎の左右に2本づつある牙を上顎の右と下顎の左に一本づつだけ備える「阿吽(あうん)の牙」と呼ばれる細工が施されており、県内でも大変珍しいものである。蚊帳は、1964(昭和39)年に新調されたもので、麻布で牡丹をあしらい、巻毛模様がほどこされている。ホネ(胴竹)を3本入れ蚊帳の内側で縛り、尾は3メートルの孟宗竹に赤く染めた1メートルのチョマ(苧麻)をつける。
 頭持ちは白の短パンにさらしを巻き、襟に○○若連中、背中に赤色で「獅子」と入った法被を着、赤地に白色で若連中の寄所の屋号の入った錦帯をつけ、白足袋、雪駄を履く。一方、棒振りは雪駄を脱ぎ、頭にシャンガン(赤熊冠)をつける。また、法被の色や柄は各若連中により異なる。
 棒振りの演技は、「大獅子」と同様、金沢から指導者を招へいし、故中條屋源兵衛氏の家で習ったものと言われているが、金沢のどこから習ったか定かではない。現在、長刀・一人(いちにん)棒・合わせ棒・二人(ににん)棒(鎖鎌)が行われているが、「大獅子」と異なり「俄獅子」では「一人棒」と「太刀」、「三ツ剣」は行われない。囃子には「ノーエ節」がある。以前は蚊帳の中で演奏したが、現在は小太鼓3(腰につける)、笛に6〜7人に、芸者2人の三味線が入って、蚊帳の外、獅子の後方で演奏する。
 また、七夕飾りで飾った竹に目録をつけた竹を持つササ持ち(笹持ち)が獅子を先導するのも「大獅子」と同様である。
 獅子舞の道具一式は、祭礼日の2日前に「寄所」に飾る。家々からの花(祝儀)には「目録一ツ金貨一封御酒肴ハ沢山、人気ハ栄当栄当右ハ○○様御贔屓トアッテ、○○若連中へ下サル」と言上披露する。

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